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文書校正AIとは?できることと企業が使うときの注意点・選び方

文書校正AIとは?できることと企業が使うときの注意点・選び方

永崎 公志朗
2026.10.04

文書校正AIを業務で使いたいものの、どのツールを選ぶか、社内文書を入れてよいかで迷う担当者の方は少なくありません。AI校正は誤字脱字や表記ゆれのチェックに役立つ一方、企業利用では入力データの扱いと社内ルールを先に決めることが前提です。

本記事では、注意点や無料の選択肢から法人向けツール3選、社内ルールとプロンプト例までを解説します。選定時に確認すべき4つの軸と、法人向けツールの違いを押さえられます。

文書校正AIとは?できること

汎用の生成AIと校正専用ツールを得意なこと・基準の持ち方・使う場所の3軸で比較した図

文書校正AIとは、文章の誤りをAIが見つけて修正案を示すツールの総称です。この章では校正と校閲の違い、汎用AIと専用ツールの違い、文書の種類による観点の違いを順に整理します。

主要な生成AIそれぞれの特徴は、生成AI比較——ChatGPT・Gemini・Claude・Copilot、4大AIの違いと使い分けにまとめています。

校正と校閲の違い、AIがチェックできる範囲

辞書の定義では、校正は「文字・文章を比べ合わせ、誤りを正すこと」、校閲は「文書や原稿などの誤りや不備な点を調べ、検討し、訂正したり校正したりすること」です。文書校正AIが得意なのは、誤字脱字・誤変換・表記ゆれ・敬語の誤りなど文字レベルのチェックです。

事実関係の確認や文脈の妥当性の検討は校閲寄りの作業で、AIだけでは完結しません。AIに任せるのは文字レベルの確認まで、と線を引くのが現実的。

出典:コトバンク「校正」(デジタル大辞泉)/コトバンク「校閲」(デジタル大辞泉)

汎用の生成AIと校正専用ツールの違い

ChatGPTやGeminiなどの汎用の生成AIは、指示次第で書き直しまでこなせる反面、指示が変わるたびに結果も揺れます。校正専用ツールは校正ルール辞書やカスタム辞書を持ち、同じ基準でチェックを繰り返せる点が強みです。

比べる点 汎用の生成AI 校正専用ツール
得意なこと 誤りの指摘から言い換え・書き直しまで 誤字脱字・表記ゆれ・敬語などのチェック
基準の持ち方 プロンプトで毎回伝える 校正ルール辞書・カスタム辞書として登録する
使う場所 チャット画面に文章を貼る ツールの画面や、Office製品・Googleドキュメントのアドイン

専用ツールを検討する前の考え方は、AIツールの導入の考え方——特化ツールに手を出す前に、汎用ツールを使い倒すで解説しています。

「文章」と「文書」で変わる校正の観点

ブログやメールの校正で主に見るのは、誤字脱字と読みやすさです。一方、契約書・提案書・社内規程のような社内文書では、表記の統一や言い回しの硬さ、定義語の一貫性まで確認が必要になります。

契約書は定義語の整合、提案書は表現のトーン、規程は表記の統一と、文書ごとに重点を分けてチェックするのが効率的。

企業が文書校正AIを使う前に押さえる3つの注意点

企業が文書校正AIを使う前に押さえる3つの注意点のチェックリスト図

企業で文書校正AIを使う前に、押さえておきたい注意点は3つあります。それぞれの背景は、会社でAIを使う前に——情報漏洩と学習、2つのリスクへの対応とはとハルシネーション対策——生成AIが嘘をつく理由と、今日からできる3つの防ぎ方でも詳しく扱っています。

機密情報・個人情報を入力する前に確認すること

機密情報や個人情報を不適切に入力しないよう、AI利用者に注意を求めているのが「AI事業者ガイドライン」(第1.2版・令和8年3月31日)です。個人情報保護委員会も令和5年6月2日の注意喚起(2026年9月時点も掲載中)で、入力した個人情報が機械学習に利用され、正確または不正確な内容で出力されるリスクを指摘しています。

機密を含む文書は、伏せて入力するか入力しないかを事前に決めておくのが原則。

出典:AI事業者ガイドライン(第1.2版)|総務省・経済産業省/個人情報保護委員会「生成AIサービスの利用に関する注意喚起等」

校正結果を過信しない(文脈の読み違いとハルシネーション)

AIは文脈やニュアンスを読み違え、不要な修正を提案することがあります。校正専用ツールのTypolessも、公式サイトに「100%正確な校正を保証するものではありません」と記載しています。

AIの指摘は候補として扱い、採否を決める担当者をあらかじめ決めておくのが前提。

出典:Typoless 公式サイト

入力した文章がAIの学習に使われるかをプランごとに確かめる

汎用の生成AIは、個人向けと法人向けでAI学習への使われ方が異なります(2026年9月時点)。主要3サービスの既定の扱いは次のとおりです。

サービス 個人向けプラン(既定) 法人向けプラン(既定)
ChatGPT 会話がモデル改善に使われうる。「Improve the model for everyone」をオフにすると学習に使われない Business:ワークスペースのデータを学習に使わない
Gemini 「アクティビティの保存」がオンだと、会話の一部が人によるレビューを経てサービス改善に使われることがある。オフにすると以後の会話は学習に使われない Google Workspace:顧客の事前の許可や指示がない限り、顧客データを学習に使わない
Claude Free/Pro/Max:ユーザーが「Improve Claude」を許可した場合のみ学習に使う Claude for Work・API:既定で入力・出力を学習に使わない

法人向けのMicrosoft 365 Copilotも、プロンプトや応答、Microsoft Graph経由のデータを基盤LLMの学習に使わないと明記しています。業務で使う前に管理画面で学習設定を確認し、自社の利用がどちらの区分に当たるかを記録しておきましょう。

出典:OpenAI「ChatGPT Business overview」/OpenAI「Data Controls FAQ」/Google「Gemini Apps Privacy Hub」/Google Workspace「生成AIのプライバシーハブ」/Anthropic「Is my data used for model training?(個人向け)」/Anthropic「Is my data used for model training?(商用)」/Microsoft「Microsoft 365 Copilot のデータ、プライバシー、セキュリティ」

無料で使える文書校正AIの選択肢

無料で使える文書校正AIの3つの選択肢を並べた比較図

追加費用をかけずに始めるなら、選択肢は大きく3つ。WordやGoogleドキュメントの標準機能、生成AIの無料版、校正専用ツールの無料プランです。

Geminiの基本操作は、Geminiの使い方——Gems・Deep Research・Canvasを仕事で使いこなすで紹介しています。

Wordの標準の文章校正機能とGoogleドキュメントの違い

Officeはすべてのプログラムでスペルチェックができ、自動の文章校正はOutlook・Word・PowerPointで使えます。日本語を含むほかの言語も、校閲タブの「言語」から校正言語を設定すればチェック可能です。

一方、Googleドキュメント標準のスペルと文法の訂正案は英語・スペイン語・フランス語・ドイツ語・ポルトガル語・イタリア語の6言語が対象で、日本語は含まれていません。

出典:Microsoft「Office でスペル チェックと文章校正を行う」/Microsoft「異なる言語のスペルチェックおよび文章校正を行う」/Google ドキュメント エディタ ヘルプ「スペルと文法をチェックする」

GeminiやChatGPTの無料版で校正するときの注意

生成AIの無料版でも誤字脱字のチェックは頼めますが、業務文書を入れる前に前述の学習設定を確認しておきましょう。Geminiの有料プランに含まれる「Gemini in Google ドキュメント」は、文書作成や情報の整理を手伝う機能です。

誤字脱字の校正に特化した機能ではありません。 公開済みの資料やテスト用の文章で挙動を確かめてから、社内文書に進む順番が無難。

出典:Google「Gemini サブスクリプション」

校正専用ツールの無料プランと無料トライアル

Shodoには無料の「ベーシック」プランがあり、1名まで・1回1万文字まで校正できます(生成AI校正は週ごとの利用制限あり)。有料プランの無料トライアルは、Typolessが30日間、文賢が14日間、Shodoのプレミアム・マックス・ビジネスが14日間です(2026年9月時点)。

出典:Shodo 料金/Typoless 料金ページ/文賢 公式サイト

法人が文書校正AIを選ぶときの4つの軸

法人が文書校正AIを選ぶときの4つの軸のチェックリスト図

法人で導入するなら、個別ツールの機能や料金を見る前に、比べる軸を決めておくと選びやすくなります。ここで挙げる軸は次の4つです。

軸 確認する問い
入力した文章の扱い 学習に使わない方針の明記・サーバー保存の有無・マスキング機能
使う場所との連携 Office製品・Googleドキュメント・ブラウザ・PDFで使えるか
表記ルールの登録 カスタム辞書を登録し、チームで共有できるか
料金体系とID契約 1IDあたりの月額・最低契約ID数・年額プランの有無

入力した文章の扱い(学習利用・保存・マスキング)

確認したいのは、入力した文章をAI学習に使わない方針が明記されているか、サーバーに保存されるか、機密語を伏せる機能があるかの3点。 汎用AIの扱いはプランで変わるため、前述の表に契約中のプランを当てはめて確認します。

使う場所との連携(Office・Googleドキュメント・PDF)

社員が普段使う画面でそのまま使えるかどうかも、定着を左右する軸です。Office製品のアドイン、Googleドキュメントのアドオン、ブラウザ拡張、PDFへの対応状況を比べましょう。

対応していない形式が多いと、コピー&ペーストの手間が残って使われなくなりがち。

社内の表記ルールを登録できるか(カスタム辞書・チーム共有)

社内独自の用語や表記を揃えたいなら、カスタム辞書を登録でき、その辞書をチームで共有できるかを見ます。辞書が個人ごとにばらばらでは、部署によって校正の基準が変わってしまいます。

全社で同じ表記ルールをかけられるかどうかが、法人利用での分かれ目。

料金体系とID契約の単位

料金は「月額×人数」で決まるサービスが多く、最低契約ID数や年額プランの有無で総額が変わります。 少人数で試すなら最低契約ID数の少ないプラン、全社展開なら年額プランや一括契約のあるプランが目安になります。

法人で検討しやすい文書校正AIツール3選

Typoless・文賢・Shodoを運営会社・連携先・入力データの扱いで比較した表

ここで取り上げるのは、運営会社を公式に確認でき、法人・チーム向けの料金プランがある文書校正AIの3つです。紹介順はおすすめ順ではありません。

ツール名 運営会社 法人・チーム向け料金(税込・2026年9月時点) 連携先 入力データの扱い(公式の記載)
Typoless 株式会社朝日新聞社 エンタープライズ 月額4,950円・1ID/エンタープライズ+Plus 月額7,150円・1ID(いずれも5IDから契約可) Word・Excel・Outlook・PowerPointアドイン、Google Docsアドオン、Chrome・Edge拡張。+PlusはPDF校正に対応 入力された文章はAI学習に利用せず、サーバーにも保存しない(カスタム辞書・参照ドキュメントはサーバーに保存)
文賢 株式会社ウェブライダー ビジネスチーム 1ユーザーあたり月額2,750円(1年更新の場合) Word・PDFなどのファイルアップロード マスキング機能で個人名・社名・数値などを「*」に置き換えてからAIへ送信できる
Shodo ZenProducts Inc. ビジネス 1名あたり月額2,000円(3名から) ブラウザ拡張、Wordアドイン、Google Docsアドオン、PDF校正 「ShodoのAIはお客様の文章を学習せず」と案内

Typoless(株式会社朝日新聞社)

Typoless公式サイトのトップページ画面

朝日新聞社の記事校正履歴を学習したAIと校正ルール辞書を組み合わせたツールです。カスタム辞書や炎上リスクチェックを備え、OfficeとGoogle Docsで使えます。

入力された文章はAI学習に利用せず、サーバーにも保存しないと公式に明記。 法人向けエンタープライズは月額4,950円・1ID、+Plusは月額7,150円・1ID(税込・5IDから、2026年9月時点)。

出典:Typoless 公式サイト/Typoless 料金ページ

Typoless公式サイトを見る

文賢(株式会社ウェブライダー)

文賢公式サイトのトップページ画面

AIアシストの文章チェックとルールによる校正・推敲を備えたツールです。辞書のチーム共有や、Word・PDFのアップロード校正にも対応。

2026年3月26日に追加されたマスキング機能では、個人名・社名・数値などを「*」に置き換えてからAIへ送れます。 料金は1年更新の場合、パーソナルが月額1,650円、ビジネスチームが1ユーザーあたり月額2,750円(税込・2026年9月時点)。

出典:文賢 公式サイト/文賢 ヘルプセンター「マスキング機能」

文賢公式サイトを見る

Shodo(ZenProducts Inc.)

Shodo公式サイトのトップページ画面

誤字・敬語・表記ゆれをその場でチェックできる校正ツールです。ブラウザ拡張・Wordアドイン・Google Docsアドオンに加え、PDFの校正にも対応します。

公式サイトでは「ShodoのAIはお客様の文章を学習せず」と案内しています。 料金はプレミアムが1名まで月額1,000円、ビジネスが3名から1名あたり月額2,000円(いずれも税込・2026年9月時点)。

出典:Shodo 公式サイト/Shodo 料金

Shodo公式サイトを見る

文書校正AIを社内に定着させるルールの整え方

文書校正AIを社内に定着させる2つの柱を示すフロー図

文書校正AIを一部の人だけのツールで終わらせないには、社内ルールとして整える必要があります。ルールがないまま広がると、無許可のAI利用(シャドーAIとは——社員が「こっそり」使うシャドーITの生成AI版、禁止しても止まらない)が増えるおそれも。

柱は次の2つです。

入力してよい情報の線引きと承認フローを決める

注意点で見た「何が危ないか」を、社内で運用できる手順に落とし込みます。情報を機密度で区分し、区分ごとに使ってよいツールを決め、例外を認める承認者を定めておくのが、現場を迷わせない基本形です。

新しいツールを採用するたびに、区分と許可リストを見直す運用も欠かせません。

表記ルールとプロンプトをチームで共有する

社内の表記ルールを文書にまとめ、専用ツールのカスタム辞書や汎用AIに渡す共通プロンプトに落とし込むのが第一歩。表記ルールの文書・カスタム辞書・共通プロンプトを1か所で共有すれば、担当者が変わっても同じ基準で校正できます。

ナレッジとして蓄積する方法は、AIに「自社のこと」を覚えさせる——システムプロンプトとナレッジファイルで解説しています。

ChatGPT・Geminiで文書校正するプロンプトの書き方

文書校正プロンプトの3要素(役割・校正の基準・出力形式)を示すテンプレート図

プロンプトの基本は、生成AIへのプロンプトの書き方——プロンプトエンジニアリングとはで解説しているとおりです。文書校正では、組み立て方しだいで結果の安定度が大きく変わります。

基本のプロンプト構成(役割・校正の基準・出力形式)

プロンプトは、①AIの役割、②校正の基準、③出力形式の3要素で組み立てると、結果が安定しやすくなります。 役割は「日本語の文書校正担当者」、基準は誤字脱字・表記ゆれ・敬語、出力形式は修正前・修正後・理由の一覧といった具合です。

どれかが曖昧だと、依頼するたびに違う基準で直されてしまいます。

社内文書向けのプロンプト例(契約書・提案書・社内規程)

契約書・提案書・社内規程を校正させるときのプロンプト例がこちら。

あなたは日本語の文書校正担当者です。
次の[契約書/提案書/社内規程]を校正してください。
基準:誤字脱字、誤変換、表記ゆれ、敬語の誤り
表記ルール:[自社の表記ルール]
制約:文意を変えない。情報を足さない。
出力:修正前/修正後/理由の一覧

対象と表記ルールを自社に合わせて書き換えれば、そのまま使えます。

修正前・修正後・理由を表で出させて差分を確かめる

修正前・修正後・理由を一覧で出させると、どこが直されたかを1件ずつ確かめられます。理由に納得できない指摘は採用せず、元の表現に戻す運用にしておくのが確実。

修正箇所を表形式で出力してください。
列は「修正前」「修正後」「理由」の3つとし、
修正が不要な箇所は出力しないでください。

文書校正AIについてよくある質問

Q. 文書校正AIの導入に社内稟議は必要ですか?

必要かどうかは各社の決裁規程によります。稟議にかける場合は、対象業務・入力してよい情報の範囲・費用・責任者の4点を示すと、判断が早まります。

推進役の決め方は、AI推進役の選び方——アンバサダー制度は「誰を選ぶか」で決まるも参考にしてください。

Q. PDFの文書もAIで校正できますか?

Typolessの+Plusプラン、文賢のファイルアップロード、ShodoのPDF校正機能で、PDFの文書を校正できます(2026年9月時点)。 いずれも公式サイトで対応が案内されている機能です。

Q. 英語の文書も校正できますか?

英語の文書でも問題ありません。Googleドキュメント標準の訂正案は英語が対象言語に含まれ、Wordも校閲タブの「言語」で校正言語を英語にすればチェックできます。

まとめ:自社に合った文書校正AIを選び、安全に使い始めよう

文書校正AIは、誤字脱字や表記ゆれを見つけ、業務文書の品質を揃えるための道具です。企業で使うなら、入力データの扱いと社内ルールを先に決めることが欠かせません。

学習設定と保存方針をプランごとに確かめ、4つの軸で比べて選び、入力ルールと表記ルールを文書にしてから展開しましょう。最初の一歩は、自社で扱う文書の種類と、AIに入力してよい情報の洗い出しです。

進め方は生成AI導入、何から始めるべきか——小さく始めて広げる進め方でも紹介しています。

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