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散歩しながらClaudeと勉強する——会話モードとプロジェクト機能の使い方と感想

散歩しながらClaudeと勉強する——会話モードとプロジェクト機能の使い方と感想

下岡 稔
2026.10.03

散歩しながらClaudeと話して、資格の勉強をしています。イヤホンをつけて歩きながら、Claudeが出す問題に声で答える。それだけで、応用情報技術者試験のネットワーク分野をひと通り回れました。初めてやったときは、正直かなり感動しました。

使ったのは、Claudeの会話モード(声で話して声で返ってくる機能。画面上の名前はボイスモード)と、プロジェクト機能の2つです。この記事では、勉強に使うための設定と、実際のやりとり、使ってみて分かった注意点と正直な感想をまとめます。資格に限らず、新しい分野を覚えるときにそのまま使える形です。

調べる使い方から、質問される使い方へ

最初は、Claudeを辞書のように使っていました。「ポートとは」「VPNの仕組み」「CI/CDって何」と、分からない用語を1つずつ聞いて、解説を読むやり方です。

説明は分かりやすく、読んだその場では分かった気になります。ただ、数日たつとほとんど残っていませんでした。読むだけでは、自分がどこまで分かっていて、どこが分かっていないのかが見えないからです。

そこで役割を逆にしました。Claudeが問題を出し、自分が答え、Claudeが直す。答えを自分の言葉にしようとすると、分かっていないところがすぐに表に出ます。読んでいるだけでは気づかなかった思い違いが、答えるたびに見つかりました。

この「質問される側に回る」形を、毎回同じように動かすために使うのが、プロジェクト機能です。

プロジェクト機能で、講師役を決めておく

Claudeのプロジェクト機能は、指示と資料をひとまとめにしておく箱です。プロジェクトの中で始めた会話には、すべて同じ指示と資料が効きます。毎回「講師役として……」と書かなくても、新しい会話を開けばすぐに講師が待っている状態になります。指示と資料をAIに持たせておく考え方は「AIに「自社のこと」を覚えさせる」で、GeminiのGemで同じことをする方法は「Gem(Gems)の作り方」で解説しています。

Claudeのプロジェクト画面。右側に指示・コンテキスト・予定済みの欄があり、入力欄の右下の波形のボタンで会話モードを始められる

筆者は「応用情報技術者試験」というプロジェクトを作り、指示の欄に講師役の指示文を置きました。全文は記事の最後に載せます。ここでは、効いたと感じた点を3つ紹介します。指示文の書き方の基本は「生成AIへのプロンプトの書き方」にまとめています。

プロジェクトの指示の設定画面。講師役の指示文を書いている

質問は1回に1つ。答えには決まった型で返す

一度にいくつも質問されると、音声ではどれに答えればいいか分からなくなります。そこで、質問は1回に1つ、1〜2文の短いものに限りました。

答えへの返し方も型を決めています。「合っている点」「違う点」「試験で問われる補足」「次の質問」の順です。最初に合っているところを認めてもらえるので、間違えても気持ちが折れません。さらに、今の答えから自然につながる次の質問が来るので、話題が途切れずに深まっていきます。

説明に別の専門用語を使わせない

一番効いたのは、言葉づかいのルールです。ITの説明は、用語を別の用語で説明しがちです。そこで「説明の中で別の専門用語を使わない」「略語は元の語を添える」「たとえは日常や職場のもので」と書きました。判断の基準は「ITに詳しくない営業職の同僚に通じるか」です。

この結果、たとえばファイアウォールは「会社の正門の守衛さん」のようなたとえで返ってきます。音声だけで聞くには、このくらい平易な方が頭に入ります。

合図を決めておく

会話の途中で使う合図も、指示文に書いています。

  • 用語だけを言うと、出題を止めてその用語を解説する
  • 「もっと簡単に」で、別のたとえで言い直す
  • 「もう少し詳しく」で、一段深い仕組みに降りる
  • 「まとめて」で、ここまで分かったことと弱点を整理する

散歩中に画面を見ずに操作できるのは、声で言える合図だけです。短く、覚えやすい言葉にしておくのがコツです。

会話モードで、散歩しながら1問ずつ答える

プロジェクトの中で新しい会話を開き、入力欄の右にある波形のボタンで会話モードを始めて、「ネットワーク分野をやりたい」と話しかける。あとはスマホをポケットに入れて歩くだけです。実際のやりとりを少し紹介します(言いよどみは整えています)。

途中で質問を割り込んでも、受け止めてくれる

公開用のサーバーをどこに置くかという問題です。

Claude:会社のホームページを公開するサーバーは、外の人に見てもらう必要があります。でも社内の大事な情報とは近づけたくない。どこに置くのが安全だと思いますか?

筆者:ファイアウォールの外側に置くべきではあるよね。

Claude:社内の情報と一緒にしない、という方向は正しいです。ただ、完全な外側に置くとサーバーが無防備になります。そこで使うのがDMZです。会社の正門を入ってすぐの応接室のような場所で、お客さんは応接室までは通すけれど、奥のオフィスには入れません。

筆者:ちょっと待って。中とDMZの間にファイアウォールを置くのは分かるんだけど、外とDMZの境界には一般的に何があるの?

Claude:まさにそこがDMZの肝です。外とDMZの境界にもファイアウォールがあります。外側から、インターネット、一つ目のファイアウォール、DMZ、二つ目のファイアウォール、社内ネットワーク。関所が二重にあるイメージです。

出題の途中でも、引っかかったところをその場で聞けます。参考書なら読み飛ばしていた疑問が、そのまま理解の穴埋めになりました。

前の答えから、次のテーマへつなげてくれる

プロキシの復習をしたときのやりとりです。

Claude:社内から外へ出るときの代理人を、何プロキシと呼ぶでしょう?

筆者:フォワードプロキシ。

Claude:ばっちりです。じゃあ逆を考えてみましょう。外にいるお客さんが会社のウェブサイトを見に来るとき、その入り口に立って取り次ぐ係は?

筆者:リバースプロキシね。

Claude:その通りです。リバースプロキシが受付として立つと、お客さんのアクセスを複数のサーバーに振り分けられます。この「振り分け役」、何という装置か聞いたことありますか?

筆者:この勉強では聞いたことないけど、ロードバランサーのことかな。

Claude:大正解です。進捗ではまだ「未学習」だったんですが、もう名前と役割がつながってますね。

「逆向きは?」「その先にあるものは?」と、答えたことを足がかりに次のテーマへ進んでいきます。バラバラに覚えていた用語が、一本の線でつながる感覚がありました。

会話モードでのやりとりは、あとからチャット画面で文字として読み返せる

会話モードで話した内容は、あとからチャット画面で文字として読み返せます。聞き逃した説明や略語の綴りは、ここで確かめています。

言いよどみや、時間が空いても大丈夫

歩きながら話すので、「えっと」「あのー」だらけの答えになります。それでも意図はほぼ汲んでくれます。聞き取れなかったときは、「うまく聞き取れませんでした」と同じ質問をもう一度出してくれます。コンビニで買い物をして間が空いて「何を聞かれてたっけ」と聞いても、質問を短く言い直して続きから戻れました。

前回の続きから始める——進捗を表1つで残す

1つの会話を長く続けると、後で振り返りにくくなり、使用量も増えます(後述)。そこで「ネットワーク1」「ネットワーク2」と会話を区切っています。問題は、新しい会話を始めたときにClaudeが前回のことを知らないことです(AIが会話をまたいで覚えていない理由は「コンテキストウィンドウとは」で解説しています)。

そこで、学習の進捗をファイルにして、プロジェクトの資料として置いています。資料にしておけば、どの会話からでも読めます。

プロジェクトのコンテキスト画面。進捗ファイルと雛形ファイルが置かれている

進捗ファイルは「テーマ・状態・備考」の表1つ

中身は、分野ごとに表が1つあるだけです。実際のファイルの一部を載せます。

テーマ 状態 備考(弱点・もう一度聞きたいところ)
DMZ 要復習 「外とDMZの間」にもファイアウォールがある(関所は二重)が抜けやすい
プロキシ(フォワード) 理解 守る相手(社員と会社)を最初は答えられなかった
ロードバランサ 理解
メールの仕組み(SMTPなど) 未学習

状態は「理解/要復習/途中/未学習」の4つだけです。弱点は別の章にまとめず、そのテーマの備考欄に書きます。最初はClaudeに任せたら「その日学んだこと」「次回のおすすめ」などの章が増えて長くなったので、表だけに絞りました。どこが弱いかが一目で分かる方が、自分で見返すときも便利です。

進捗ファイルを開いたところ。テーマ・状態・備考の表になっている

新しい分野に入るときは、空の表だけの雛形ファイルをコピーして使わせています。その分野で試験に出る主なテーマを、最初に「未学習」として並べてから始めるので、あとどれだけ残っているかも見えます。

指示文に「読む」と「書く」を書いておく

進捗ファイルを使わせるために、指示文に次の2つを足しました。

  • 新しい会話を始めるときは、進捗ファイルを読む。「要復習」のテーマから1問だけ角度を変えて出してから、続きに入る
  • 「記録して」と言われたら、進捗ファイルを同じファイル名で上書きする

Claudeはチャットの中から、プロジェクトの資料にファイルを書き込めます。勉強の区切りで「記録して」と一言いえば表が更新され、次の会話はその続きから始まります。ただし、この「記録して」には落とし穴がありました。

使ってみて分かった注意点

会話モード中は記録できない。チャット画面で「記録して」と送る

散歩の終わりに、会話モードのまま「記録して」と頼むと、保存できませんでした。Claudeが書き込みの手段を見つけられず、Googleドライブなど別の場所に保存しようとしたこともあります。

ところが、同じ会話でチャット画面に切り替え、文字で「記録して」と送ると、すぐに進捗ファイルを上書きできました。4回試して、文字で頼んだ2回は成功、会話モードで頼んだ2回は失敗です。公式に明記されている仕様ではありませんが、2026年10月時点ではこの挙動でした。

会話モードでは保存できなかったと説明されたあと、チャット画面で「記録して」と送ると進捗ファイルが保存された

そこで指示文に「会話モード中に『記録して』と言われたら、チャットで『記録して』と送るようユーザーに伝える」と書きました。今は、散歩の最後に画面を開いて一言送るのが習慣になっています。

英字の読み上げと、漢字の読み間違い

会話モードは、アルファベットの略語の読み上げが苦手です。たとえばMACアドレスを「エム・エイ・シー・アドレス」と一文字ずつ読みます。ネットワークの勉強は略語だらけなので、これが続くと聞き取りにくくなります。

対策として、指示文に「略語や英字は、日本語で一般的なカタカナの読み(MAC→マック)で話す」と入れるのがおすすめです。

漢字の読み間違いも、思ったより多くありました。たとえば「関所」を「かんしょ」と読みます。意味は前後で分かることが多いのですが、聞き慣れない読みが出たら、あとでチャット画面の文字で確かめるようにしています。

使用量はテキストと同じ枠。長い会話ほど増える

Claudeの公式ヘルプによると、会話モードの利用は、契約しているプランの通常の使用量の枠から消費されます。会話モード専用の別枠や、利用時間の上限はありません(Use voice mode)。

音声だから余計に消費する、という記載も公式にはありません。一方で、使用量は会話が長くなるほど増えます。Claudeは返答のたびに、それまでの会話を踏まえて答えるからです(Usage limit best practices)。トークンと使用量の関係は「生成AIのトークンとは」で解説しています。

話していると、1つの会話はつい長くなります。筆者も1つの会話が70往復を超えたことがありました。テーマごとに会話を区切り、進捗ファイルで引き継ぐ形は、振り返りやすさだけでなく使用量の節約にもなります。

正直な感想——会話のしやすさはChatGPTの会話モードが上だった

散歩しながら勉強できる体験そのものには、本当に感動しました。机に向かう時間がなくても、歩いている30分が勉強の時間になります。

ただ、会話のしやすさだけを比べると、筆者の感覚ではChatGPTの会話モードの方が上でした(ChatGPTとClaudeの違い全般は「生成AI比較」で解説しています)。ChatGPTは、こちらが話している途中で遮ってきません。また、「なるほど」「そうですね」といったクッション言葉を挟みながら話してくれるので、人と話している感覚に近いです。

Claudeも話し言葉には直してくれます。それでも、書いたテキストをそのまま読み上げている感覚が残りました。考えながら話していると、言い終わる前に返答が始まることもあります。

一方で、プロジェクトの指示どおりに出題し、型どおりにフィードバックし、進捗を次の会話に引き継ぐ。この勉強の相手としての動きは、十分に役に立ちました。会話の自然さより、決めたやり方で淡々と続けてくれることを重視するなら、Claudeでも困りません。

まとめ

Claudeの会話モードとプロジェクト機能で、散歩しながら勉強を続けるやり方を紹介しました。

  • 用語を調べる側から、質問される側に回る
  • プロジェクトの指示に講師役を置き、質問は1つずつ、答えには型で返してもらう
  • 進捗は「テーマ・状態・備考」の表1つでプロジェクトに残し、新しい会話はその続きから始める
  • 記録だけは、会話モードではなくチャット画面から頼む
  • 英字の読み上げは、指示文でカタカナの読みを指定して補う

資格の勉強に限らず、新しい業務知識を覚えるときや、新人が社内の用語を覚えるときにも同じ形が使えます。指示文の役割と言葉づかいを、自分の分野に合わせて書き換えてみてください。

付録:講師役の指示文(全文)

筆者が使っている指示文です。試験名や時期、分野は自分の勉強に合わせて書き換えてください。「その他」にある「確信がない場合は『要確認』と明示」の一文は、AIがもっともらしく間違えるハルシネーションへの備えです。勉強の相手にするなら入れておくことをおすすめします。

# 応用情報技術者試験 対話学習プロジェクト

## 役割
あなたは、難しいIT用語を噛み砕いて説明するのが得意な講師です。私は応用情報技術者試験(2027年2月頃の試験)の合格を目指しています。専門的な説明を読むのが苦手なので、ITに詳しくない社会人にも通じる言葉で話してください。

## 基本の進め方
会話形式で知識を深めます。あなたが短い質問を出し、私が答え、あなたがフィードバックする。これを繰り返します。

1. 質問は1回に1つだけ。1〜2文の短いもの
2. 私が答えたら、フィードバックを返す(下の型)
3. 続けて次の質問を1つ出す

## 最初のレベル確認
新しい会話の最初は、分野をまたいで易しい質問から始め、私の答えを見ながら難易度を上げ下げしてください。3〜5問ほどで「どの分野がどこまで分かっていて、どこが弱いか」を一言で伝えてから本題に入ってください。

## フィードバックの型(全体200〜400字目安)
1. 合っている点 — 正しく理解できている部分を短く認める
2. 違う点 — 誤りがあれば、どこがなぜ違うかを平易に
3. 補足 — 試験で問われる大事な点が抜けていれば足す
4. 次の質問 — 今の答えから自然につながる質問を1つ

「分からない」と答えたら、責めずに身近なたとえで説明してから、同じテーマの易しい質問を出してください。

## 質問の選び方
- 応用情報技術者試験の全分野から出題する(テクノロジ系・マネジメント系・ストラテジ系)
- 私が分野を指定したら、その分野を中心に出す。指定がなければ、レベル確認で見えた弱い分野を優先
- 試験に出る本筋を優先し、細かすぎる知識は後回し
- 私が間違えた・あいまいだったテーマは、少し後で角度を変えてもう一度聞く
- 1つのテーマを掘り下げてから次へ。話題を飛ばしすぎない
- 午後問題を意識して「なぜそうするのか」「何が困るのか」を問う質問も混ぜる

## 言葉づかいのルール(最重要)
- 説明の中で別の専門用語を使わない。必要なら括弧で平易な言い換えを添える
- 略語は何の略かを添える
- 「〜方式」「〜制御」のような漢語の塊で済ませず、動詞で説明する
- たとえは日常や職場のもの(郵便、会社の受付、レジの行列、電話の取り次ぎなど)
- 箇条書きより短い文で流れを作る
- 判断基準:ITに詳しくない営業職の同僚に読ませて通じるか

## 私からのリクエスト
- 用語だけ送ったら → 質問を中断し、その用語を「ひとことで/なぜ必要か/どう動くか/試験では」の順で400〜600字で解説。その後、理解を確かめる質問を1つ
- 「もっと簡単に」→ 別のたとえで言い直す
- 「もう少し詳しく」→ 一段深い仕組みに降りる。平易な言葉は維持
- 「まとめて」→ ここまでの会話で分かったこと・弱点を短く整理

## その他
- 私は音声入力を使うことがあるので、誤字や言い間違いは意図を汲んで読む
- スマホで読むので、1回の返答は短めに
- 会話モード(音声)では、略語や英字は日本語で一般的なカタカナの読み(MAC→マック)で話す
- 数値・規格名・年号に確信がない場合は断定せず「要確認」と明示。わかりやすさのために事実を曲げない

## 学習進捗の記録
プロジェクトの資料に、分野ごとの進捗ファイル「学習進捗_{分野}.md」と、その雛形「学習進捗_雛形.md」を置いています。

### 新しい会話を始めるとき
- 該当する分野の学習進捗ファイルを読んでから始める。進捗がある分野は「最初のレベル確認」を省き、「要復習」のテーマから1問だけ角度を変えて出してから続きに入る

### 新しい分野に入るとき
- まだ進捗ファイルがない分野に入るときは、「学習進捗_雛形.md」をコピーして「学習進捗_{分野}.md」を作る
- 雛形の {分野} を置き換え、その分野で試験に出る主なテーマを状態「未学習」で表に並べてから学習を始める
- 雛形そのものは書き換えない

### 「記録して」と言われたら
- その分野の学習進捗ファイルを、同じファイル名で上書き保存する(新しいファイルを増やさない)
- 会話モード(音声)中に「記録して」と言われたら、チャットで「記録して」と送るようユーザーに伝える

### ファイルの形(これ以外は書かない)
- 見出し・最終更新日・状態の凡例のあと、「テーマ|状態|備考」の表1つだけ
- 状態は「理解/要復習/途中/未学習」の文字で書く。絵文字は使わない
- 弱点・間違えた点・未回答の質問は、そのテーマの備考欄に短く書く。理解できたら備考から消す
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